特別な素材の加工は、ペルスヴァルのトレードマークです。素材の魅力を最大限に活かすよう、カット、磨きを行っています。無限の輝きとエレガントなフォルムが目を引きつける、ダイヤモンドのようなナイフをお手元にどうぞ。
*人工素材はほぼ同じ見た目となりますが、自然素材(植物、生物、鉱物 由来の素材)は、一本一本色味や風合いが異なります。どうぞご了承ください。
LES MATIERES VEGETALES:植物由来の素材
"クラシック”な素材。熱帯と温帯に生育する貴重な木材。たとえば色合いと木目のバリエーションが豊かな黒檀(ガボン、マカッサル、モザンビーク産)。エキゾチックな素材としては、ペルスヴァルを代表する素材であるアリゾナのアイアンウッド(重く、高密度で樹齢数千年)、そしてマーブル模様のスネークウッド。スネークウッドは濃い黄色の線模様の上にさらに濃い黄色の斑紋があり、爬虫類のウロコを想起させます。
Olivier:オリーブ
オリーブ(学名 Olea europaea)は「ヨーロッパのオリーブ」とも呼ばれ、地中海性気候の地域で生育するモクセイ科の木です。年齢が刻まれた木の幹と、銀色がかった常緑の葉の豊かな茂み。長寿であることも有名です。
Genévrier ou Cade:ジュニパーまたはネズ
ジュニパー(学名 Juniperus)はヒノキ科の木や灌木で、種類は60ほどあり、北半球原産です。木の色はピンク色から褐色がかったピンク色まであり、ギリシア・ローマ時代から愛されてきました。ギリシア人・ローマ人は、ジュニパーの木を熱して得られるカデ油を死者の身繕いのために使っていました。
ジュニパーは、形状の美しさと使い勝手の良さの他に、その香りの高さで香水製造においても高く評価されています。この木はすでに古代エジプトの時代に香油や香水として使われていたのです!ジュニパーの実を毎日一つかじると病を遠ざけることができるという言い伝えもあります。
Ebène du Gabon:ガボンの黒檀
ガボンの黒檀(学名 Diospyros crassiflora)はカキノキ科の貴重な木です。白い筋がかすかに入っているものもありますが、黒檀の中で最も黒い種類です。この木はとても重く、その粒子は細かく、完璧に滑らかな光沢を持ち、つや有りにもつや消しにもできます。
Ebène du Mozambique:モザンビークの黒檀
モザンビークの黒檀(学名 Dalbergia melanoxylon またの名をアフリカン・グレナディラ)は熱帯の木で密度が高く、硬く、光沢があり、色は濃いワインレッドから黒までの様々な色合いを持ちます。音響効果の素晴らしさと、ほとんど水分を通さない特性により、主に弦楽器と木管楽器の製作に使用されています。
Ebène de Macassar:マカッサルの縞黒檀
縞黒檀(学名 Diospyros Celebica)は、1.10から1.20の比重を持ち、インドネシア産です。そのエレガントな光沢、そして黒とベージュの糸状やマーブル模様の木目により、高い評価を受けています。工芸品や彫刻によく使用される優れた木です。
Bouleau de Norvège:ノルウェーの白樺
白樺は温暖な地域で生育するカバノキ科の植物です。白樺(ノルウェー語でbjørk または bjerk)はノルウェーのシンボルでもあり、ロマン派の画家によりしばしば絵に描かれてきました。チェコのアントニン・スラヴィチェクにより1897年に描かれた「白樺の森」という絵が例として挙げられます。
Gaïac:ユソウボク
「生命の木」(ラテン語でlignum vitae)という別名を持つユソウボクは、主に中央アメリカとアンティル諸島で生育する小さな木です。この木は非常に密度が高いため、熱帯地方で最も硬く重い木のひとつとして有名です。
Bois de Serpent:スネークウッド
スネークウッド(学名Marmoroxylon racemosum)はギアナの森固有の貴重な木です。この木を使うと、蛇のウロコを思わせる、茶色の大きな斑紋のある不規則なマーブル模様、深い黄色がかった線模様のハンドルができます。この珍しい貴重な木は、原生林でのみ生育し、乾いた土を好みます。でこぼこのある特徴的な幹で、スネークウッドと識別されます。
Pistachier:ピスタチオの木
カイノキ属ピスタチオ(学名 Pistacia terebinthus)はウルシ科に属し、地中海盆地原産のフランスの木です。この木は3mから5mの高さで、幹は硬く、高級家具製造や寄せ木細工において装飾のためによく使われます。
Bois d'amourette:アムレットの木
アムレットの木(学名 Brosimum guianense ニックネームは「斑点のある文字」*訳注参照)はギアナ原産 クワ科の貴重な木です。赤茶がかった斑点のある木材は水に浮かばないほど密度が高く、虎柄です。
(訳注:硬い木なので、かつて活版印刷において活字として使われており、表面に斑点があるため「斑点のある文字」というニックネームが付いたそうです/wikipédia france)
Loupe de buis:ツゲのこぶ
ツゲは温暖な地域で生育するツゲ科の植物(学名 Buxus sempervirens)で、細かく密な粒子が特徴です。古代ローマ・ギリシア文明の時代から様々な道具となり、実用に供されてきました。レモンイエローのこの素材は驚くほど硬く、粒子は細かく、0.9から1.06の密度です。こぶの部分には細やかさと豊かなニュアンスがあります。
Bois de Fer:デザート・アイアンウッド
アリゾナのデザート・アイアンウッド(学名 Olneya Tesota またはスペイン語でPalo Fierro)は、ペルスヴァルを代表する素材の一つで、マメ科に属します。この貴重な木は、世界で最も重く最も密度が高い木の一つで、樹齢数千年。自然に枯れたあと約3千年間その場で乾燥したものしか加工することはできません。半化石のような木で、はっきりした天然の木目が入っています。この木は2008年に世界遺産に登録されたアリゾナの化石化した森にあったものです。この地は何百万年も前から化石になった木の幹が多数あることで有名です。
LES MATIERES ORGANIQUES:生物由来の素材
コブウシ(ゼビュー牛)の角、牡羊の茶色や黄金の角。法律により厳しく取引が規制されている鼈甲や象牙は、ワシントン条約前の素材を扱っています。当アトリエはワシントン条約に基づき、このような素材を保持し加工する許可を得ています。
Pointe de corne:コブウシ(ゼビュー牛)の角
コブウシの角はインド産です。通常の牛の角よりハンドルの素材として好まれているのは、より大きく、より湾曲していて、より均質なためです。熱を加えずに、素材を変質させることなく加工することができます。
Corne de Bélier:牡羊の角
羊種(学名Ovis gmelini laristanica)の牡羊はアジアの野生ムフロンとも呼ばれ、イラン東部、中央アジア、アフガニスタン、パキスタン、インド西部に生息しています。この動物は多くの古代文明においてパワーと自然の化身とされていました。その螺旋を描く角は強いパワーの象徴で、兜や、破城槌と呼ばれる攻城兵器、舟の舳先や建築物の装飾に見られます。ペルスヴァルでは主にイランの牡羊の角を使います。色彩が豊かで、黄金から黒まで無限のニュアンスを持っているからです。
Bois de Cerf:鹿の枝角
鹿の枝角は骨から成る器官で、シカ科であることのしるしです。ペルスヴァルでは、南アジアの大陸と島々(インド、スリランカ、ミャンマー、マレーシア、フィリピン、タイ、中国、インドネシア)の深い森にすむ水鹿(スイロクまたはルサジカとも言います)(学名 Cervus unicolor または Rusa unicolor)の枝角を使用しています。この鹿の枝角はたいへん硬く、厚みと真珠のような光沢があり、水を通しません。多いと4本の枝角を持つこの種の鹿は水分を多く必要とするため、時に生存の危機にさらされます。枝角は旧石器時代からナイフやドリルの製作に使われてきました。
Ivoire de Phacochère:イボイノシシの牙
イボイノシシ(学名 Phacochoerus aethiopicus)は「ケープタウンのイボイノシシ」もしくは「ソマリアのイボイノシシ」とも呼ばれ、イノシシ科に属します。アジア・ヨーロッパのイノシシのアフリカの従兄弟にあたり、絶滅危惧種ではありません。イボイノシシの牙の中で最も大きいものだけが、ペルスヴァルのナイフのハンドルにふさわしい素材として使用されます。他の種類のイノシシとは異なり、イボイノシシの牙には斑点があります。
Ivoire d'Eléphant:象牙
象牙は純粋さと高貴さのシンボルと見なされることも多く、エレガンスを体現している素材です。ペルスヴァルではこの素材の繊細な縞目模様が見られるよう、研磨に特別な注意を払っています。ワシントン条約制定前から合法的にストックされている素材です。
Ivoire de Mammouth:マンモスの牙
シベリア原産のマンモスの化石化した牙(七千年から一万年前のものと推定されています)。鉄のリン酸塩鉱物である藍鉄鋼の存在により、褐色もしくは青緑色を帯びた含有物が見られることもあります。この希少な素材を手に入れるためには大がかりな探検旅行が必要です。専門家からなる信頼できるチームと、北極に出かけるような食糧と宿営の準備作業。解氷期が来ると探索者達は、マンモスを肥料としたかもしれない植物の痕跡を土の上に求めて、川の周辺の永久凍土層をくまなく探します。いったんエリアが限定できれば、彼らは土地を深く掘り、化石化したマンモスの牙やその他の部分を採掘するのです。その後、小さな板状にカットして形をととのえ、ナイフを彩るハンドルになります。
時には北海の船乗り達が、海底堆積物によって最近表面に出た化石をトロール網で引き上げることがあります。この化石はシベリアで見つけられるものとは少し異なっています。エナメル質の部分しか利用できませんし、中心部に濃い色が付いています。また、良好な状態のものでも厚みはあまりありませんが、折りたたみナイフのハンドルにするには充分です。
Ecaille de Tortue:鼈甲(べっこう)
鼈甲は今日最も貴重な生物由来の素材です。17世紀に人気が集まったのですが、この素材を完全に使いこなせるようになるためにはその後30年から50年以上の研究と改良が必要でした。16世紀には、アンリ4世が甲羅全体を使って作られたゆりかごを所有していたこともあります...ペルスヴァルのナイフのハンドルに加工される鼈甲は、ウミガメ科タイマイ(学名 Eretmochelys imbricata )の甲羅からできています。気品と輝きを持ち、自然が作ったものではありますがあまりにも洗練されているこの素材は、濃い褐色からコーラルピンクまで無限の豊かな光沢を持っていて、時には他に例を見ない透明感のある蜂蜜色になることもあります。この素材の暖かみのある鮮やかな色は、すべてのナイフにユニークな生命力を与えます。素材の美しさを強調するためにハンドルの鼈甲には24金の飾りが付いています。パリのアトリエ・グジョンで学んだマルセル・クロス氏の協力の下にこの細工は実現しました。鼈甲は厳しい規制により管理されていますが、ペルスヴァルは保持と加工に関して必要な法的認証をすべて取得しています。
LES MATIERES MINERALES:鉱物由来の素材
ペルスヴァルでは宇宙から飛来した鉄を含む鉱物(セイムチャンとムオニオナルスタの隕石)、純粋と高貴のシンボルである翡翠、ヴェルデ・オレッツァなどの希少石もハンドル材として扱っています。どちらも高度な技術を要する素材ですが、素晴らしい存在感です。
Vert d'Orezza:ヴェルデ・オレッツァ
ヴェルデ・オレッツァまたはコルシカ・グリーンと呼ばれる世界に一つしかないこの半貴石は、五千万年前に地殻の表面から20km以下のところで生成されました。その唯一の大きな鉱床はオート・コルスの自然公園の中にあります。この暗い色の石は、密度が高く、班レイ岩の一種で、粒の多い重い火山岩です。緑閃石(たいへん珍しいエメラルドグリーンの鉱石)と、ほとんど知られていない他の鉱石、たとえばローソナイト、チタナイト、パンペリー石などの結晶から出来ていて、色合いは青灰色から灰色までの幅があります。この個性的な石はローマ人に発見されて以来高い評価を得ています。ルネサンスの時代には芸術家達がこぞって作品に使用しましたし、18世紀イタリアではこの素材を使った最も豪華な作品群が作られました。また、ジョバンニ・デ・メディチ公が建てた、その一族の権力と富にふさわしい霊廟、メディチ家礼拝堂にも素晴らしい作品が残っています。この石は「メディチ家の石」とも呼ばれ、礼拝堂内部の装飾で重要な位置を占めています。繊細な細工が施された美しいこの石で、墓の壁と床が完全に覆われているのです。
Jade lavande ou jadéite lavande:ラヴェンダー翡翠
"jade"(翡翠)という語は、「腎臓」を意味するスペイン語"ijada"に由来します。コロンブスによるアメリカ大陸発見以前、南アメリカの住民はこの神聖な石により腎臓病が治ると信じていました。彼らにとってのこの石の価値は、金よりはるかに高かったのです。約五千年前から翡翠を尊んでいる中国人にとってもその価値は特別でした。
翡翠には二種類あり、そのひとつ本翡翠(ジェダイト)は産出量が極めて少なく、輝石(pyroxène)に属します。ナトリウムとアルミニウムを含むケイ酸塩鉱物で、硬く高密度で、地球のプレートが他のプレートの下に沈み込む際に深部に潜ることで生成される変成岩の中で形成されます。
多様な色彩を持ち、白(純ジェダイト)から濃淡も様々な赤、オレンジ、黄、茶、黒、そして緑(インペリアル・ジェードのエメラルドグリーンは鉄とクロムの不純物に由来します)、ラヴェンダー/ライラック(マンガンと鉄の不純物に由来します)まであります。この本翡翠はミャンマー(旧ビルマ)産です。
Météorite Seymchan:セイムチャン隕石
セイムチャン隕石は1967年にロシアのマガダン州で発見されました。石鉄隕石で、パラサイト隕石に分類されます。主な成分は鉄とニッケルです。この隕石の際立った特徴は、結晶の樹枝状の模様です。
隕石を見つけることは容易ではありません。そのため、数人の専門家がペルスヴァルに協力してくれています。たとえば「ラベンヌ隕石有限会社」(小惑星の隕石の探索と販売専門のフランスの会社)代表リュック・ラベンヌです。星への情熱あふれる彼は、貴重な素材を探し出すために今日も砂漠を駆けめぐっています。
Météorite Muonionalusta:ムオニオナルスタ隕石
ムオニオナルスタ隕石は1906年にスウェーデンのキルナ市(北極圏内)で発見されました。鉄隕石で、オクタヘドライト型隕鉄(八面体晶隕鉄)に分類されます。主な成分は鉄とニッケルです。鉄隕石固有の特徴を持っていて、繊細な結晶があり、スライスすると幾何学模様が見られます。この模様はウィドマンシュテッテン構造と呼ばれ、鉄が高温の酸の中で熱せられた時に現れます。
隕石を見つけることは容易ではありません。そのため、数人の専門家がペルスヴァルに協力してくれています。例えば北欧の冒険者、スウェーデンのトマスとミカエラ・ダヴィッドソン夫妻。彼らは天候が許す限り、1年のうち6ヶ月をラップランドの最奥地で、ダイヤモンドにも例えられるこの隕石を探して過ごします。このような遠征には装備が非常に重要なポイントになります。探索者達に必要なのは、GPS、カメラ、金属探知機、そして何よりも忍耐力なのです!
LES MATIERES SYNTHETIQUES:人工素材
ポリアセタルとカーボンファイバー。硬く摩擦に強い性質を持っていて、複合新素材を強化するため、また複雑な製品を製造するために使用される素材ですが、他に例を見ないクオリティと特質が広く認められています。
Polyacétal:ポリアセタル
ポリアセタル(POM)は、結晶化する温度が高い熱可塑性の素材で、非常に安定していて硬いのが特徴です。感触はなめらかで、摩擦に強く、また吸水性が低いという性質を備えています。寸法安定性と耐疲労性に優れ、成形加工しやすいため、この素材は精密部品をはじめ、様々な分野に使われています。また、ハイクオリティ製品の表面を作る際の高い要求に応える素材です。
Corian:人工大理石
人工大理石は、鉱物の粒子とアクリル樹脂を合成した人工素材です。小さな製品やインテリア用品によく用いられています。様々な色があり、加工性に優れ、形状に合わせたカット、曲面加工、穴開け、研磨、彫刻、修理、型抜き、熱による成形、糊付けが可能です。人工大理石は、安定した素材で、均質で、石のように硬く、吸水性が低いので衛生的でメンテナンスが容易、シミもできず、修理修復が可能という性質を備えています。
Fibre de carbone:カーボンファイバー
この極めて強い素材は、炭素の原子でできていて、顕微鏡でしか見ることができない繊維(ファイバー)状(直径5から15マイクロメートル)に並んでいます。何千本ものカーボンファイバーで一本の糸を作り、エポキシ樹脂と組み合わせ、他の物質と混ぜたり、織ったりして使用します。こうして加工されると、比重は軽いけれども(1.7から1.9)、引っ張る力や押す力に対してたいへん強くなります。
カーボンファイバーは、複合新素材の補強や、限られた重量で強く抵抗力のあるものを作らなければならないときに使用されます。この素材はまた、そのしなやかさと、熱伝導性と導電性の良さ、温度の影響を受けにくいこと、そして化学的安定性(酸化を除く)により高く評価されています。これらの特性により、カーボンファイバーは、航空産業や宇宙開発など最先端の産業で使われる素材となっています。
G10:グラスファイバー
G10は、グラスファイバーの一種で、カーボンファイバーと同等の性質を持っています。このため、極めて安定していて硬く、耐水性にも優れた素材です。